KLK-A1 |
ハンドメイドAVラックKLK-A1パイン集成材を使用したローボードタイプの高級AVラックです。中心2列に オーディオ・ビジュアル系の機材を収納し、両側にケーブル類やディスク類を収納できる 引き出しを設けました。非常に丈夫で観音開きの扉を設け、ホコリを入りにくく してあります。 落ち着いたパイン集成材の木目をそのまま生かしていますので、使うほどに飽きのこない 長く使えるラックです。 |
【目次】 1.コンセプト 2.設計 3.板取り 4.ラック部の製作 5.引き出しの製作 6.コンポーネント設置・配線 7.使用感 |
いろいろなAVラックが売られており、普通はそれらの中から一番良さそうな物を 選んで購入すると思います。しかし、安価なものはたこ板でペコペコな上、あまり 収納できないし、丈夫でしっかりしたものは非常に高価といったところです。 そこで、がっちりとしていながら使いやすいAVラックを作ることにしました。 以下の5項目を基本的なコンセプトとしました。
2.1 概観 まずは概観を検討します。ラックに収納するメインコンポーネントは、 (1)フルサイズ プリ・メインアンプ、チューナ、DVDプレーヤ、ビデオプレーヤ (2)ハーフサイズ MDプレーヤ、CDプレーヤ、BSチューナ、地デジチューナ です。フルサイズ収納部にはハーフサイズ2台を並べて入れ、上にテレビ、スピーカーを 置くことを前提に図1のような全体のイメージ図を作成しました。将来的にもう一回り 大きなテレビになることも考慮して、ゆとりを持った幅とします。また、市販されている ラックによくあるガラス製の扉も検討したのですが、加工が難しく、適度な大きさの 物がないため、木枠をつくり、その中に透明アクリル板を取り付ける構造としました。 2.2 材料 メインフレームに使用する材料は、丈夫さと見た目を考慮して、19mmの パイン集成材もしくは赤松の集成材を使います。どちらも少し赤みがあり、 フローリング床にしっくりする色合いです。ラック自体は縦・横の組み合わせが 多いので、厚さ20mm程度で十分な強度が確保できます。若干背が大きくなっても いいのであれば、24mm厚程度の集成材を使用すれば非常に強度が高くなります。 引き出しのレール部に関しては、30mm幅の杉材を使用すると加工も楽です。 引き出しについては、前面の板はメインフレームと合わせてパイン集成材と しますが、引き出し本体については加工のしやすさと価格から、9mm厚のMDFを 使用します。 2.3 本体設計 本体フレームは図2のような寸法となりました。19mm厚の集成材を使う場合です。 もし、板厚を変更する場合は寸法の変更が必要となります(以後、寸法に関しては すべて19mm厚を前提とします)。 前面から見た大きさは1,610mm×480mmとかなり大型のラックです。
引き出しは一番上部にMDが入る高さの小引き出し、下部2段はDVD/CDやケーブル その他が入る高さの引き出しということで、図3のような寸法にしました。 側板は後板に比べて若干背の低い形としていますが、これは、本体フレームに ストッパーを設け、引き出した時に引き出しが全部出てしまうことを止める ようにします。また、前板は引き出すたびに引っ張られるので、内側に補強材 (MDF)を貼り付けます。 扉は30mm幅13mm厚の杉材を利用して木枠を作り、内側に3mm厚アクリル板を つける構成にしますが、日曜大工で溝を掘るのは非常に困難なので、5mm三角材を 使い、2〜3mm厚アクリル板を挟み込む形にします。
なお、板厚や切断の誤差などにより、実物は必ず多少のずれがあります。寸法図に 完全に合ってないからといってあわてないようにしましょう。
3.1 部品寸法 図2の寸法からメインフレームのパーツは図4のようになります。 AV用ラックであり、裏側は配線で込み合うので裏板(背板)はありませんが、 L字金具の補強を行って強度を確保します。 15, 16は引き出し用のレールとして使うので、30mm幅13mm厚の杉材を 使います。
扉は木枠のフレームにアクリル板をつけますが、アクリル板は三角材で 挟み込む構造ですので、図6のような寸法になります。
ホームセンターでは定尺(決まった大きさ)の板で売っていますので、できるだけ 効率よく各パーツを切り出すように工夫します。使用する板は表1の通りです。 ホームセンターのカットサービスを利用する場合、2〜3mm程度ずれて当たり前と 思ってください。 図6が本体フレームおよび引き出し前板の板取りです。400mm幅×19mm厚の集成材を 使います。図中グレーの部分は使わない部分ですが、ホームセンターで切って もらった後は、その場で捨てずに持ち帰りましょう。 図7は引き出し枠と扉(木枠部)の板取りです。MDF材は合板でも かまいませんが、底板にラワン合板は避けたほうがいいと思います(目が粗いため、 すべりが悪くなる可能性があります。シナ合板は大丈夫。)桧の直板は、 1810mmの長さのものを使ってもいいですが、曲がっているものが多いので、 910mm程度にきってあるものを使ったほうがいいでしょう。扉の枠板は桧に こだわりません。色合い等を考慮して好きな材料を使ってください。
ホームセンターで切ってもらったら図8のような量になると思います。 写真ではわかりにくいですが、かなりの量です。 私はホームセンターで400mm幅のパイン集成材を切ってもらったのですが、 定格サイズで売っているものでも図9のように幅に誤差があります。 今回は最小400mm、最大402mmで2mm程度の誤差がありました。売り場には 何枚も同じ材料が置いてあるので、一枚ずつ丁寧に見比べて、 なるべく大きさがあっていること、板が真っ直ぐであること(反っていないこと)、 色が合っていることを確認しましょう。適当に選んでしまって 合わなかったら後で大変になります。 今回の2mmの誤差は組み立てた後、最終的にかんなややすり等で 大きさを合わせます。
3.1 最初に塗装 ラックは構造が複雑なため、できあがってからやすりがけ・塗装を行うと 細部までできません。そこで、切り出した段階でやすりがけ・塗装を行います。 特に、ラックの中板にあたる部分は、きれいに仕上げます。 やすりかけ→塗装を3回以上行います。天板・底板は貼り合わせの部分にマスキング テープを貼って、塗装により木工ボンドがつかなくならないようにします。 3.2 ラック組み立て ラックの組み立ては、上から下へ組んでいきます。目に付きやすい部分の誤差や でこぼこを押さえるためです。天板・縦板の接着は、治具等を使用して直角を出しましょう。 天板に縦板5枚を垂直に接着 → 底板を接着 の順に貼り付けます。 3.3 引き出し組み立て 次に引き出しを組み立てます。引き出しの前板は、引き出せるように下部と上部を けずります。組み立てた後は、ラックの引き出し支持部と接する部分にビニール製の 壁紙を貼り付けます。ビニール製の壁紙を貼り付けることにより、引き出しが良く すべるようになります。この効果は大きく、家具でよく使用している引き出し用の レールは必要ありません。そのため、引き出しの内容積を最大限とることができます。 3.4 引き出し支持部接着 ラックの引き出し支持部を接着します。必ず現物で合わせましょう。引き出しがよく すべること、変なところに引っかからないことを確認しながら組み立てていきます。 3.5 後面処理 ラックのリアの処理を行います。縦板と天板・底板の接着部分に、補強用の金属のL字金具 をつけていきます。この補強により、ラックの強度は非常に高くなります。 L字金具をつけたら、ラックの一番後側にフェルトシートを張っていきます。ラックを移動した時、 壁等とぶつかっても傷をつけないようにするためです。 3.6 扉の製作 観音開きの扉を作ります。木枠は、20mm幅の木材から枠を作成します。現物で寸法を 合わせながら、組み立てていきます。枠ができあがったら。内側にアクリル板を収めるように アクリル板用の枠をつけていきます。アクリル板は傷がつきやすいので、製作中はくれぐれも 扱いに注意しましょう。 3.7 中板の取り付け 中板を取り付けます。接着してしまってもいいし、高さを決めた内板を使用してもかまいません。 扉をつける前に中板をセットします。 なお、中板は後ろ側に、ケーブルが通るように削っておく必要があります。 3.8 扉の取り付け 中板をつけたら、最後に組み立てた扉を取り付けます。 3.9 最終仕上げ 全てが完了したら最終的な仕上げを行います。1000番以上の非常に細かいやすりで天板や側板を 磨きます。つるつるの美しい木目となります。
引き出しは、サイズ的に非常に使いやすい大きさです。深底タイプにはDVDやブルーレイ ディスク等がたっぷり納まり、浅底タイプにはMDや付属品等がきれいに収まります。 このラックを置くだけでリビングが一気に引き締まりました。 |
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